LESSON12:低速走行での運転テクニック

低速時にバランスをとりやすくする乗車姿勢

運転中に非常に狭い道や危険が多い道を走行する場合には、スピードを大幅に落とした低速走行をする必要があります。

2輪という構造上、バイクも自転車もそのままで自立することができません。
そのため危険回避などのために低速走行をするときにはかなり高度なバランス感覚が求められるのです。

一見バイクの低速走行はそれほど機会がないように思えますが、実際にはかなり多くの場面で必要となることがあります。

低速走行をしない場合には一旦バイクから降りてハンドルを持って移動をさせないといけませんが、小柄な人や相当大きなバイクの場合には難しいでしょう。

低速走行は、自動二輪の技能講習においても「一本橋」という項目で練習します。
「一本橋」は技能講習の中でも特に補習となる人が多い項目であり、そこがクリアできないためになかなか教習所を卒業できないという人も見られます。

バイクが最も安定して走行できるのはスピードを出して走行をしているときで、これは「ジャイロ効果」と呼ばれるものです。

「ジャイロ効果」がなくなったバイクを倒れないように運転していくためには、完全に停車をさせない状態で左右にバランスを取りながらスロットルとギアを使用していくことになります。

半クラを一定に止めておく技をマスターする

低速走行をするときには、急にスピードが出ないように半クラを保ったまま走行することになります。
このときにクラッチをどこまでかませるかという調節を左手で行なっていくことにより、微妙な低速を保つことができます。

右手のスロットルは運転中にあまり開閉させることなく、できるだけ一定の回転を保つようにしましょう。
この左右の手をいかに上手に固定制御していくか、ということが低速走行のキモです。

乗車中の姿勢は膝と肘を真っ直ぐ伸ばすようにして、シートから腰を浮かせて、足元を見ながらゆっくり走行させていきます。

クラッチ制御が不安定になると途中でガタガタとエンストを起こしやすくなるので、できるだけ滑らかな速度で移動できるようにしていきます。

低速走行でクランク運転をする場合は、ハンドル操作に依存してしまうとどうしても車体が不安定になってしまいますので、ステアリングは行き先を示すくらいにとどめ、バランスは全身を使って取っていくようにしましょう。

低速運転とともにマスターしておきたいのが「引き起こし」です。
低速走行はうまくいけばよいですが、悪路運転の場合にはどうしても一旦停車をしたり、バランスを崩してやり直しをしなければならなくなります。

そうしたときに倒れた車体を持ち上げて速やかに運転再開ができるように、横倒しになったバイクを引き起こす方法も練習しておきましょう。