LESSON11:安全マインドを忘れない回避制動
急ブレーキとともに素早く障害物をすり抜ける
バイクを乗っているとしばしば遭遇するのが突然の障害物です。
安全運転をしているつもりであっても、暗い夜道や見通しの悪い場所では突然目の前に障害物が出て来るということがあります。
そうした時には可能であれば急ブレーキをかけて停止をしますが、ブレーキでは間に合わないという場合には、車体を大きく旋回させて障害物を回避するという操作をすることになります。
できることならば公道で回避制動をしなくてはいけないような事態は避けるべきですが、それでも全く予想していないときにこそ起こるのが危険というものですので、常に回避できるように技術を高めておくことは大切です。
回避制動の練習をする前に、まずきちんと知っておきたいのが、スピードと認知の関係です。
当然のことながら乗車中の運転スピードが早くなるほど、目の前の障害物の認知速度は遅くなります。
また急な認知により回避行動をとる場合には冷静な判断ができないことも多く、練習であれば簡単に避けられたであろう行動も、実際にすぐにはできないことが少なくありません。
運転をするときには「認知・判断・操作」という三段階を必ず踏むことになりますので、悪天候などで視界がよくない時間帯や見通しの悪い市街地などを走行するときには、自分の認知スピードで対応できるように速度を制限して走行するようにしましょう。
とっさのときに取れるようになりたいベストな回避方法
実際に公道などで回避制動が必要になる場面は一瞬ですので、細かくどういった操作をすべきかということを頭で判断することはできません。
それを前提としつつも急な回避制動をする場合の手順を細かく説明していきます。
走行中に急に障害物が見えた時には、まず前後のブレーキを思い切り使って急制動をします。
急制動をしてスピードを落としつつ、体を回避したい方向に傾け外足でバイクを倒し込むようにしましょう。
傾けたバイクは避けたい対象を抜ける前に内膝で素早く立て直し、さらにすばやく車体を垂直に戻します。
バイクの事故ではこの回避制動の途中で、回避そのものには成功しつつもその後の立て直しに失敗して、体が投げ出されてしまうというケースが多くなっています。
回避ももちろん大切ですが、その後に素早く車体を正常に戻せるようにするというところまでが正しい回避制動です。
体勢の立て直しの途中で転倒してしまう原因の一つに、抜けた瞬間にステアリングが曲がった状態で急制動をしてしまうということがあります。
回避行動中にはブレーキはかけず、きちんと体勢を整えてから改めてブレーキで停車をするようにしましょう。
繰り返しますが、こうした一連の動作は実際の事故では冷静に行動判断ができませんので、体が自然に動くようにしてください。